停留精巣
「片方のおちんちんの袋が小さい気がする」
「触っても中に丸いものがないけど大丈夫?」
このような心配で受診されるご家族は、男の子を育てていると意外と多いものです。
停留精巣は、生まれた男の子の約3~5%に見られる先天的な状態で、特に早産児ではその頻度が高くなります。
停留精巣とは?
精巣(睾丸)は、お腹の中で発育し、胎児期に鼠径部(そけいぶ)を通って陰嚢に下降してきます。
この下降がうまくいかず、陰嚢まで精巣が到達していない状態を「停留精巣」といいます。
停留している精巣は、以下のような場所にあることがあります。
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鼠径部(足の付け根あたり)
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腹部(お腹の中)
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陰嚢のすぐ外側(皮下)
多くは片側性ですが、両側とも停留していることもあります。
※「移動性精巣」といって、普段は上の方にあっても、入浴時などに降りてくることがあるタイプもあり、この場合は治療の必要はありません。
停留精巣の原因について
停留精巣の原因は明確に分かっていない部分もありますが、以下の要因が関係していると考えられています。
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胎児期の発育異常やホルモンの影響
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精巣を引き下げる組織の異常
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早産(未熟児)であること
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家族歴がある場合もややリスクが上がる
停留精巣によって引き起こされるリスク
精巣が陰嚢にないまま放置されると、以下のようなリスクが高まるとされています。
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不妊のリスク
精巣は陰嚢内でやや低い温度に保たれて機能するため、腹腔内にあると精子形成が障害される可能性があります。 -
精巣腫瘍のリスク
停留精巣の方は、将来の精巣がんの発生率がやや高いと報告されています。 -
精巣捻転(けいれん)や外傷のリスク
正常な位置にないことで精巣が捻じれやすくなる場合があります。 -
心理的・外見的な問題
思春期以降に陰嚢の左右差が気になる子も出てきます。
このため、1歳を過ぎても精巣が降りてきていない場合は、専門的な治療(手術)を検討することが推奨されています。
停留精巣の診断と治療方法
診察と検査
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触診によって精巣の位置を確認します。鼠径部で触れることも多いです。
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必要に応じて、超音波検査やMRIなどの画像検査を行うこともあります。
治療方法
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1歳未満では自然に下降してくることがあるため、経過観察となることが多いです。
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1歳を過ぎても陰嚢内にない場合は、手術(精巣固定術)を検討します。
当院では、必要に応じて小児外科・泌尿器科など専門機関と連携し、スムーズなご紹介を行います。
停留精巣についてのよくある質問
Q1. まだ赤ちゃんですが、すぐに手術が必要ですか?
いいえ、6か月〜1歳までは自然に精巣が下降してくる可能性がありますので、まずは経過観察が一般的です。1歳を過ぎて改善がない場合に手術を検討します。
Q2. 入浴中などに陰嚢に精巣が降りてきているように見えるのですが?
これは「移動性精巣」の可能性があります。通常は手術の必要がないことが多く、定期的に診察で確認していきます。
Q3. 精巣が片方しかないと不妊になりますか?
片方の精巣が正常に働いていれば、将来的に子どもができる可能性は十分にあります。ただし、両側に停留がある場合は早めの治療が重要です。
Q4. 手術をしないとどうなりますか?
放置すると不妊のリスクや腫瘍のリスクが上がるため、1歳以降も精巣が降りてこない場合は、手術が推奨されます。
院長より
お子さんの成長の中で、「男の子の体のこと」はとても気になることのひとつです。
停留精巣は、見た目だけでなく、将来の生殖能力や健康にも関係する大切なポイントです。
でも、心配しすぎる必要はありません。早期に発見して、必要なタイミングで適切な処置を行えば問題のないことがほとんどです。
晴れ空こどもクリニック保谷では、乳児健診や診察の中で陰部の発育も丁寧に確認しています。
不安があるときは、どうぞ気軽にご相談くださいね。
