メニュー

小児アトピー性皮膚炎に対するデュピクセント

晴れ空こどもクリニック保谷では、重い小児アトピー性皮膚炎の症状にお悩みの患者さんへ、近年注目されている治療薬であるデュピクセント(一般名-デュピルマブ)の導入を行っています。

小児アトピー性皮膚炎に対するデュピクセントとは

デュピクセントは、バイオテクノロジーを用いて開発されたバイオ製剤という種類のお薬です。アトピー性皮膚炎や気管支喘息の背景にある「タイプ2炎症」と呼ばれる過剰な免疫反応を抑える効果が期待できます。具体的には、炎症を引き起こす司令塔のような役割を果たすIL-4(インターロイキン-4)とIL-13(インターロイキン-13)という2つのタンパク質の働きをブロックし、皮膚の炎症を根本から整えていきます。

この治療薬は、従来のステロイド外用剤などのように「表面の火を消す」だけでなく、炎症が起こりやすい体内の仕組みそのものにアプローチする点が大きな特徴です。以前は成人向けの治療に限られていましたが、現在は生後6ヶ月以上のお子さんから使用が可能になりました。これにより、成長期の大切な時期に、肌のバリア機能を回復させ、健やかな皮膚の状態を目指すことが可能となっています。

デュピクセントの投与について

デュピクセントは飲み薬ではなく、皮下注射によって体内に取り込むお薬です。当院では、お子さんが不安を感じないよう、小児科専門医と看護師が連携して、皮下注射を行います。治療の開始にあたっては、6か月以上の外用薬での治療で効果が不十分であることが条件となります。まず皮膚の状態やこれまでの経過を詳しく伺い、必要な検査を組み合わせた上で導入を検討します。

投与の仕組みと頻度

通常、治療の開始時は初回に規定の量を投与し、その後は一定の間隔を空けて継続していきます。患者さんの年齢や体重、症状の重さに応じて投与量やスケジュールが細かく設定されます。

  • 15歳以上(成人含む)の場合・・初回に2本を投与し、その後は2週間ごとに1本のペースで注射を継続します。
  • 生後6ヶ月から15歳未満の場合・・体重に応じて、2週間ごと、あるいは4週間ごとの投与間隔が設定されます。
  • 投与方法・・お腹、太もも、または二の腕の皮下に注射を行います。

自己注射への移行

状態が安定し、医師が適切と判断した場合には、ご自宅で患者さん自身や保護者の方が注射を行う「自己注射」に切り替えることができます。自己注射を導入することで、2週間に一度の通院が難しい忙しい学生さんや保護者の方でも、ご自身のペースで治療を継続しやすくなります。当院では、自信を持って自己注射ができるようになるまで、看護師が丁寧に練習をサポートいたします

注射の痛みを和らげる工夫

注射の痛みを軽減するために、当院では以下のポイントを推奨しています。デュピクセントは冷蔵庫で保管するお薬ですが、冷たいまま注射をすると痛みを感じやすいため、事前に常温に戻しておくことが大切です。

  • 室温に戻す・・使用する45分から1時間ほど前に冷蔵庫から出しておきます。
  • リラックス・・痛みに敏感なお子さんには、スタッフが優しく声をかけ、リラックスできる環境を作ります。
  • デバイスの選択・・ペンタイプやシリンジタイプなど、使いやすい形状を選択できます。

デュピクセントで期待できる効果

デュピクセントは、アトピー性皮膚炎だけでなく、複数のアレルギー疾患に対して並行して効果を発揮することがあります。これは、体内の共通した炎症経路を抑えるためです。

アトピー性皮膚炎の改善

強いかゆみや、皮膚がゴワゴワと厚くなってしまった状態を改善へと導きます。皮膚のバリア機能が整うことで、かき壊しによる感染症のリスクが減り、夜ぐっすり眠れるようになる効果が期待できます。

気管支喘息の症状緩和

気道の炎症を抑えることで、発作の頻度を減らし、呼吸機能を改善します。吸入ステロイド薬だけでは症状が残ってしまう重症の喘息患者さんにとって、日常生活の制限を減らす大きな助けとなります。

その他の疾患

鼻茸(はなたけ)を伴う慢性副鼻腔炎や、結節性痒疹(けっせつせいようしん)という強いかゆみを伴うしこりのある疾患に対しても、医師の判断により使用が検討されることがあります。

副作用と安全性について

デュピクセントは特定の炎症物質のみを標的とするため、全身の免疫を広く抑えてしまうお薬と比較して、重大な副作用が起こる頻度は低いとされています。しかし、すべてのお薬と同様に、いくつかの注意すべき点があります。当院では副作用の兆候を見逃さないよう、定期的な受診時に細かくチェックを行います。

主な副作用の例
  • 結膜炎・・目が赤くなる、かゆみが出る、目やにが増えるといった症状が報告されています。アトピー性皮膚炎の患者さんに出やすい傾向がありますが、多くは点眼薬などで対応可能です。
  • 注射部位反応・・注射した場所が一時的に赤くなったり、腫れたりすることがあります。
  • ヘルペス・・稀に皮膚の免疫バランスの変化により、ヘルペスウイルスによる感染症が出やすくなる場合があります。

また、寄生虫感染がある場合、このお薬の使用によって病気の見通し(予後)に影響が出る可能性があるため、事前の問診が重要です。予防接種については、生ワクチンの接種を予定している場合は時期の調整が必要になりますので、必ずご相談ください。

デュピクセントについてのよくある質問

Q1. どのくらいの期間注射を続ければいいですか?

A1. 症状によって個人差がありますが、まずは3ヶ月から半年程度を目安に効果を確認します。症状が落ち着いて安定した状態(寛解)が維持できるようになったら、投与間隔を延ばしたり、最終的に治療を休止したりできるか検討していきます。自己判断で急にやめるとリバウンドが起きる可能性があるため、計画的に進めることが大切です。

Q2. 注射を始めれば、塗り薬は完全にやめられますか?

A2. 多くの場合は塗り薬(ステロイド外用剤や保湿剤)と併用します。デュピクセントで内側から炎症を抑えながら、外側からの適切なスキンケアを続けることで、より肌の再生が早まります。皮膚の状態が良くなるにつれて、塗り薬の量や回数を減らしていくことを目指します。

Q3. 自己注射は失敗したり、針を刺すのが怖かったりしませんか?

A3. 現在使用されているペンタイプのお薬は、針が見えにくい工夫がされており、ボタンを押すだけで自動的に注射が完了する設計になっています。当院では、看護師が模型や実際のお薬を使って何度でも練習にお付き合いします。無理に強いることはありませんので、安心してください。

Q4. 学校行事や旅行の時はどうすればいいですか?

A4. 旅行などで数日間家を空ける場合は、投与のスケジュールを数日前後調整することが可能です。保冷バッグを使って持ち運ぶ方法など、ライフスタイルに合わせたアドバイスを行っておりますので、お気軽にご相談ください。

Q5. 他の病院でアトピーだと言われましたが、受診しても大丈夫ですか?

A5. もちろんです。現在の治療でなかなか良くならないという不安をお持ちの方に対しても、セカンドオピニオンを含めた丁寧な診察を行います。当院ではドロップスクリーンなどの精度の高い検査を用いて、改めて診断を丁寧に行います。

院長より

アトピー性皮膚炎は、目に見える症状だけでなく、かゆみによる不眠やストレスなど、本人にしかわからない辛さがたくさんあります。また、それを支える保護者の方も「どうにかしてあげたい」という思いで、日々スキンケアや掃除に心を砕かれていることと思います。私たちは、その努力を誰よりも尊重し、そこに強力な味方としてデュピクセントという選択肢を提案させていただきます。

一方、開院してたくさんのアトピー性皮膚炎の患者さんを見てきましたが、これは重症だ、デュピクセント必要かな?と初診時には思った患者様でも、当院の外用治療で驚くほど改善するケースも多いです。アトピー性皮膚炎にお悩みの患者様・ご家族様はぜひ一度当院にご相談下さい。進歩した外用治療とスタッフによる丁寧な外用指導で、お子様の肌を少しでもいい状態に保てるようスッタフ一同全力でサポートを行います。それでもコントロールがつかない場合、デュピクセントはとても頼もしい選択肢になります。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME