小児食物アレルギーに対する食物経口負荷試験
食物アレルギーの診断において、原因食物の確定診断や、除去の解除を判断するための最も精度の高い検査として「食物経口負荷試験」があります。除去が必要と言われたけれど本当に食べられないのか、いつから食べ始めて良いのかとお悩みの保護者の方は、ぜひ一度私たちのクリニックへご相談ください。
食物経口負荷試験について
食物経口負荷試験とは、アレルギーの原因となっている可能性がある食品を、実際に医療機関で食べてみて症状の有無を確認する検査です。食物アレルギーの診療において、現在広く用いられている最も重要な検査です。血液検査の数値(IgE抗体価)が高くても、実際には食べられるケースや、逆に数値が低くても症状が出るケースがあるため、この検査によって正確な診断と「食べられる量」の特定を行います。
検査の主な目的は、以下の3点です。
- 確定診断・・問診や血液検査だけでは特定できない原因食品を突き止めます。
- 安全性の確認・・現在除去している食品を、どの程度の量までなら安全に食べられるかを確認します。
- 除去の解除・・成長に伴ってアレルギーが改善(耐性獲得)したかどうかを判断し、食事制限をなくしていくために行います。
検査は、お子さまの健康状態が良好な日に行うことが大原則です。微熱や咳、鼻水などの風邪症状がある場合は、延期を検討します。
検査当日の流れと注意点
当日は、指定された食品を持参していただき、医師・看護師の監視のもとで数回に分けて食べていただきます。摂取後は、最低1時間の間院内に滞在していただきアレルギー症状が出ないか経過観察を行います。アレルギー反応は食べてすぐに現れる「即時型」が多いため、皮膚の赤み、かゆみ、咳込み、嘔吐などの症状が出ないかを、慎重に見守ります。万が一、強い症状(アナフィラキシー)が現れた場合には、エピネフリン(アドレナリン)の投与や酸素吸入など、適切な処置を即座に行える準備を整えています。万が一入院治療を要する様な重篤な症状が見られた場合は、連携医療機関への紹介を速やかに行います。
検査後の経口免疫療法
食物経口負荷試験によって安全に摂取できる量がわかった場合、翌日以降経口免疫療法を自宅で行っていただきます。これは日常的に(週に3回程度)安全な量の原因食品を継続的に摂取して、脱感作を目指す治療法です。詳しい実施方法は受診していただいた際に丁寧にお話致します。経口免疫療法を続けることで最終的に食物アレルギーの完治を目指すことが出来ます。
食物経口負荷試験の料金について
食物経口負荷試験は、医師が必要と判断した場合には健康保険が適用される診療です。西東京市や周辺自治体の乳幼児医療費助成制度(マル乳・マル子など)も対象となりますので、窓口での自己負担額は自治体の規定に従います(原則全額補助されます)。なお、検査で使用する食品(鶏卵、牛乳、小麦など)は、衛生上の理由からご家庭で準備し、持参していただきます。持参いただく食品の費用については自己負担となりますのでご了承ください。
食物経口負荷試験についてのよくある質問
Q1. 血液検査で陽性が出た食品は、必ず負荷試験が必要ですか?
A1. 血液検査の結果だけでは「食べると症状が出るかどうか」は断定できません。血液検査はあくまで予測の一つです。実際に食べて症状が出なければ除去する必要はありませんが、以前に強い症状が出たことがある場合や、血液検査の数値が極めて高い場合は、安全のために医療機関での負荷試験が推奨されます。
Q2. 検査は何歳から受けられますか?
A2. 離乳食が始まる生後6ヶ月頃から実施を検討できます。特に卵アレルギーなどは、早期に少量ずつ摂取することで改善が早まると考えられるケースもあります。お子さまの成長発達やアレルギーの状態に合わせて、無理のないタイミングを相談していきましょう。
Q3. もし症状が出てしまったらどうなりますか?
A3. 蕁麻疹や咳、腹痛などの症状が出た場合は、直ちに摂取を中止し、必要に応じて抗ヒスタミン薬や吸入薬、重症の場合は点滴や注射による処置を行います。当院では小児科専門医が常に近くにおり、症状の推移を細かく観察しながら、安全を最優先に治療を行います。
Q4. 自宅で少しずつ食べさせるのと何が違いますか?
A4. 医療機関での負荷試験は、救急対応ができる体制のもとで行われる点が決定的に異なります。自宅で重篤なアレルギー症状が起きた場合、対応が遅れるリスクがあります。負荷試験で「この量までは大丈夫」という安全な基準(閾値)を明確にすることで、ご家庭でも安心して食事を進められるようになります。
院長より
食物アレルギーの診断において、以前は「少しでも反応があれば除去する」という考え方が主流でしたが、現在は「安全に食べられる範囲で食べることでアレルギーを治す」という考え方に変わってきています。不必要な除去は、お子さまの栄養バランスや成長、さらにはご家族の生活の質(QOL)に大きな影響を与えます。食物経口負荷試験を初めとする適切な診断ステップで、食物アレルギーの正確な診断と治癒に繋げられればと思っています。
「この子は一生卵が食べられないのではないか」「いつになれば解除できるのか」とお悩みのご家族様はぜひ当院へご相談下さい。お子さまの笑顔と、ご家族の健やかな食卓を守るために、スタッフ一同、全力でサポートさせていただきます。
