鼠経ヘルニア
「赤ちゃんの股のあたりが、ふくらんでる気がする…」
「泣いたときやお風呂あがりに、足のつけ根がポコッと出ている」
そんなご相談を受けることがあります。
これは、鼠経(そけい)ヘルニアといって、いわゆる「脱腸(だっちょう)」の状態であることがあります。
当院では、小児科専門医が赤ちゃんから子どもまでの鼠経ヘルニアに対応し、必要な場合は速やかに小児外科と連携して治療を進めています。
鼠経ヘルニアとは?
鼠経ヘルニアは、**赤ちゃんや子どもに起こることのある「脱腸」**のことを指します。
お腹の中の腸や腹膜(おなかの内側を覆う膜)が、本来閉じているはずの足のつけ根部分(鼠経管)から、外に飛び出してしまう病気です。
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生後数か月から3歳くらいまでによく見られます
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特に男の子に多く、未熟児や早産児ではさらに高い頻度で見られます
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泣いたとき・いきんだとき・お風呂上がりにふくらみが目立つのが特徴です
鼠経ヘルニアの症状
次のような症状に気づいたら、早めのご相談をおすすめします。
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足のつけ根(そけい部)や陰嚢(いんのう)にやわらかいふくらみ
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泣く・咳をする・いきむと大きくなり、寝ていると小さくなる
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押すとへこむ(戻る)場合もある
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ふくらみ部分を痛がる、触ると嫌がる
※注意が必要なのは、「嵌頓(かんとん)」という状態です。
これは、飛び出した腸が戻らずに締めつけられてしまい、血流が止まってしまう危険な状態です。
嵌頓のサイン:
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激しく泣き続ける
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嘔吐する
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ふくらみが赤くなって硬く、押しても戻らない
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元気がなくぐったりする
このような場合は、すぐに医療機関を受診してください。
鼠経ヘルニアの原因
赤ちゃんは、お腹の中で性別に関係なく「腹膜鞘状突起(ふくまくしょうじょうとっき)」という通り道があります。
この通り道は、通常は出生後に自然に閉じるはずなのですが、閉じずに残ってしまうと、そこから腸などが出てきてしまうのです。
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未熟児や早産児では閉じる時期が遅く、発症しやすい
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家族内に同じ病気があると発症しやすい傾向があります
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男の子では、睾丸(こうがん)が降りてくる通り道が原因になることもあります
鼠経ヘルニアの診断と治療
診察と診断
晴れ空こどもクリニック保谷では、視診・触診による確認を行い、正確な診断を行います。治療・処置が必要な場合は小児外科に紹介を行います。
治療について
当院では、提携の小児外科専門施設と連携して、必要な治療を安全に進める体制を整えています。
鼠経ヘルニアについてのよくある質問
Q1. 押したら戻るし、痛がらないので様子見でいいですか?
今は大丈夫でも、いつ嵌頓するかわからないため、診断がついた時点で手術が推奨されます。
「急に泣き止まない」「嘔吐した」などが起こる前に受診しましょう。
Q2. 自然に治ることはないのでしょうか?
自然に治る可能性はほとんどありません。
放っておくと、嵌頓(腸の締めつけ)により腸壊死などの合併症につながることがあります。
Q3. 手術は安全ですか?入院は必要ですか?
手術は確立されており、1時間ほどで終わることがほとんどです。
日帰り手術や1泊入院で済む施設が多いです。
Q4. 女の子にも起こるのですか?
はい、女の子にも起こります。
女の子の場合は卵巣が脱出することがあり、将来的な影響も考慮して特に早めの対応が必要です。
院長より
「ぽこっとふくらむけれど、いつも戻るから大丈夫かな…」
そう思って様子を見てしまう方も多いのですが、鼠経ヘルニアはある日突然、嵌頓という緊急事態を起こすことがあります。
でも、正しく診断して、早めに手術を受ければ、それ以降は安心して過ごせます。
当院では、小児科専門医がやさしく丁寧に診察し、必要に応じて連携病院へ速やかにご紹介しています。
少しでも気になるふくらみがある場合は、ぜひ早めにご相談ください。
